特別第1分科会 研究課題 世界で活躍する人材を育むために ~これからの国際化に対応できる力とは~

特別第1分科会 研究課題 世界で活躍する人材を育むために ~これからの国際化に対応できる力とは~ に参加してまいりました。

私が腑に落ちた内容を3点ご紹介し、研究大会の参加報告に代えさせていただきます。

1点目は、パネリストらがテーマから誤解しないでほしいと述べられていたのが、日本を飛び出して海外で活躍する人材を育てたいのではない。日本国内に居ても、色々なツールで世界とつながることが可能な時代になってきているわけで、留学する人数や海外勤務している人数がその指数ではないということでした。

あるパネラーが広島を訪れた外国人観光客に向け、英語で原爆被害の惨状を伝える少年の話を紹介していました。広島市に住む小学4年、佐々木駿君(10)で、流暢な英語と資料を用いた解説で、祖父から聞いた曾祖母の被爆体験を伝えるボランティアガイドを放課後や休日を利用して、原爆ドームや原爆死没者慰霊碑など計5カ所の案内に取り組んでいるのだそうです。

この小学生のやっていることは、本分科会テーマに迫る一つの具体例だと思うと話されました。

私も、佐々木駿君を取材したYouTubeを見て納得してしまいました。皆さんにも、一度観ていただけると幸いです。

2点目は、国際バカロレアを教育の主軸としている小学校長の実践例でした。冒頭の小学生が授業でやっている設問には、目からうろこが落ちました。

Qドラえもんに登場する「のび太」の生き方に1番悪影響を与えている人物は、次の4人のうち誰だと思うか。隣の人に分かりやすく理由を説明しなさい。という設問です。 

 A1:しずかちゃん A2:スネ夫 A3:ジャイアン A4:ドラえもん

 皆さんは、誰を選びどのように説明するでしょうか。

 日本人は指示されたことを真面目にコツコツやることは得意。正解のある答えを導き出すのも得意。だが、この問のように正解のない答えを見つけて、相手に分かりやすく自分の考えを説明することは比較的苦手。また、自分で課題を見つけよりよく解決したり、失敗を恐れずにチャレンジしたりすることも苦手だと言われる。指示待ちの生き方では、変化の激しい時代やこれからの国際化の時代では通用しない状況が想像できる。だから、国際バカロレア教育のカリキュラムを編成し、国際化に対応できる子どもたちを育てていきたいと決意を述べていました。

 私立の学校のみならず、公立の学校においても国際バカロレアの教育が定着していくことを元教師の私も望んでおります。最後に、彼のブログ「チノメザメ~21世紀を学ぶ君へ~」もなかなか興味深いので、お時間のある時に覗いてみてはいかがでしょうか。

 3点目は、基調講演を行ったJICA中国センター所長のお話からです。彼は大学院まで微生物の研究に打ち込んだのに、なぜJICAだったのか。彼は大学生の時、インド・ネパール放浪の旅に出かけたのだそうです。そこで今まで見たこともない「こんな世界があるのか!」と衝撃を受けた。この「心に刺さるきっかけ」が、彼をJICAへと動かしたといいます。

 彼は何でもいい。「心に刺さるようなきっかけ」を義務教育の中で、あるいは社会教育で、子どもたちや若者に提供していくことが、これからの国際化に対応できる力を育んでいくことにつながるはずだ。そのためにJICAが利用できるなら、全国各地にあるJICAを大いに利用してほしいと続けました。

 基調講演を聴きながら、今年の7月に区P連事業として行った「お仕事体験フェス」が、参加した中学生の心にチョットでも刺さっていたらいいなぁ。と思っていました。

 余談ではありますが、分科会が始まる前の時間を使って「広島平和記念資料館」に行って参りました。本当に胸が締め付けられる写真や展示物の数々で、平和ボケしている自身を戒める貴重な機会となりました。